さくら動物病院の基本理念と治療方針
私たちは、松崎町で開業して24年、修善寺で開業して12年、地域の皆さまと共に歩んできました。
私(畑 雅夫)は大学卒業後、東京の病院でしばらく勤務した後、より学術的な外科治療を学ぶためアメリカへ渡り、獣医大学の外科研究室で4年間の研修を行い帰国、外科専門医を目指して大規模な病院に就職しました。
しかし、その大規模さゆえの運用費や人件費を出すには「とりあえず検査、入院、治療、手術か薬」といった経営の現実に、なんだかポッキリ折れるものがあり、離脱。
その後、獣医学の専門書の翻訳業を始め、Dr.小林と共に海と山の松崎町へ移住しました。
田畑で野菜や米を作り、山や海からの恵みを享受する生活はとても充実していましたが、里親として迎えたゴールデンレトリーバーの『サクラ』のお腹に腫瘍ができた際、何もできなかったことがきっかけとなり、さくら動物病院を開業しました。
開業当時は夜の救急も難しい手術にも対応して、無我夢中で10年、20年を駆け抜けました。
しかし、近年、2次診療施設や夜間対応病院、CTやMRIを備えた施設が県内に増え、当院のような一次診療施設の役割も変化してきています。
また、インターネットの普及により、飼い主の皆さまの知識や考え方も多様化し、県外の施設を受診される方も増えてきました。
このたび、本ウェブサイトのリニューアルを機に、当院の基本理念や治療方針、過去20年の経験と反省を基に、今後目指す方向性を明示し、皆さまの選択の一助となればと考えています。
当院を昔からご利用の方や、遠くの病院まで足を運べない方へ
従来と変わらないサービスを提供していきます。
ご要望があれば、送迎や訪問治療にもできるだけ応じていきます。
野良猫の手術や飼えなくなった犬や猫の里親の募集も相談してください。
新規や転院で当院の受診を検討している方へ
(1)診察
経過をよく聞いて、見て、触ってを実践しています。
予約診療、じっくり外来診療枠を設けました。
→予約診療 →じっくり外来(リンク先準備中です)
(2)検査
最初に(治療を始める前の段階)必要と思われる検査をしておく事が重要と考えています。
予め検査の目的や費用を説明して、同意を頂いて進めていきます。
(3)治療
ある程度の診断がつく前の対症療法的な治療(例えば、熱があるから解熱剤、消炎剤や取り敢えずの抗生物質)は病因が見えにくくなり結果として遠回りになる事が多いと考えています。
そのため、緊急性が無い場合はすぐに薬を処方しない方針にご理解をお願いしています。
(4)自然治癒を最優先する
体は敢えて熱を出して感染と戦い、食べないことで消化活動を休止して感染や病気の治癒に集中する、痛みのサインに従いじっと安静にして病気から治っていく経過を取るなどの自然治癒力や免疫獲得に、対症療法はかえって邪魔をするのではないかと感じる様になりました。
その治癒過程には多少の時間はかかります。すぐに元気に食べて欲しい、なんとか食べさせたいと言う方も多いですが、我慢して見守ることを推奨しています。
(5)外科手術
以前と比較して、“ほっときゃ治ります”と判断する事が多くなってきました。
化膿傷が爆ぜて排膿することも治癒過程の最終コーナーであり、動物が傷口を舐めるのも理に適った行動で、エリザベスカラーや包帯は極力しません。
骨折でも動くことで筋肉が骨折片を寄せて治っていく、関節疾患や脊椎疾患でも外科手術の必要を感じることが少なくなってきました。
手術が適応なケースも無いわけではありませんが、その見極めができる様になってきた気もします。
(6)抗癌治療
人と同様に高齢になって腫瘍になる、または検査で発見する機会が増えたのかも知れません。
果たして手術で治ってしまうのか、抗がん治療は動物が享受するものなのか、当院は否定的なスタンスではありますが、それでも手術や治療法を模索している方には、病理診断を行い、その腫瘍に関する論文やデータを基に手術や抗癌治療の期待値や副作用についての情報を提供したいと思っています。ご希望があれば高度医療施設を紹介致します。
→じっくり外来(リンク先準備中です)
(7)ワクチン
WASAVA(世界小動物獣医師会)のガイドラインに従って、犬猫の混合ワクチンを毎年接種から3年に1回接種に減らして15年が経ちますが、そのために発症した報告はありません。
ワクチンの効果は少なくとも3年は持続します。
特に猫では毎年のワクチン接種の副作用が報告されています。
飼育環境や高齢で他の動物とのコンタクトがなく、感染する機会が低いなら、そもそもワクチン自体必要無いかもしれません。
果たして狂犬病ワクチンも今の日本で毎年接種が必要でしょうか?今後エビデンスを基に情報を発信していけたらと考えています。
(8)終末治療
延命治療、強制給餌や薬を無理に飲ませることはしない方針です。
彼らは我々とは違う時間枠で赤ちゃんから大人になって年を取って過ぎ去っていく命であることを思い出すことが大切です。
そして、一番安心できる飼い主の元で、自宅で最後の時間を過ごす事が最善であることは明確です。
当院では高圧酸素療法やオゾン注腸を導入し、痛みやストレスが無い方法を提案しています。
→高圧酸素療法(PDFファイル) →オゾン注腸療法(PDFファイル)
私たちは、動物たちの自然治癒力を尊重し、無理のない治療を提供することを基本理念としています。これからも地域の皆さまと共に、動物たちの健康と幸せを守っていきたいと思います。
ドクター紹介
さくら動物病院(松崎医院)とさくらどうぶつのクリニック(修善寺医院)の医師をご紹介いたします。
獣医師畑 雅夫 さくら動物病院(松崎町)院長
一般診療、外科、眼科担当
経歴
- 北里大学 獣医学部卒業
- 1994年 Missouri state university 大学病院 外科室勤務
- 1998年 Ohio state university 犬の股関節の人口関節置換術コース
- 2000年 静岡県松崎町に「さくら動物病院」を開院
獣医師小林 佳子 さくらどうぶつのクリニック(修善寺)院長
一般診療、皮膚科、内科担当
経歴
- 日本大学 農獣医学部獣医学科卒業
- 1990年 東京都内動物病院勤務
- 1994年 青山ケンネルカレッジ 国際動物専門学校専任講師
- 2012年 静岡県修善寺の「さくらどうぶつのクリニック」院長に就任
輸血で助かる命があります。献血ドナー犬を募集しています。
犬も、人と同じように病気やけがで輸血が必要な場面があります。
しかし、人間のような血液バンクといった制度がないため、急を要する場面で血液を確保することが難しい状況です。輸血する血液がなかなか見つからず、悔しい思いをすることもあります。
当院では、今までスタッフの飼育する犬などにお願いして血液を提供してもらっていますが十分ではありません。
そこで、当院では献血ドナーになっていただける犬を募集しています。
献血ドナー登録要項
年齢 | 1歳から7歳 |
体重 | 20㎏以上 |
性別 | オスまたは、妊娠経験のないメス |
予防 | フィラリア予防・ワクチン接種が済んでいること |
健康状態 | ・現在、健康体であること
・過去に輸血を受けた経験がないこと |
ドナー登録までの流れ
- 申し込み
まずは、お電話にてお問い合わせください。
健康診断を実施する予定を決めます。
松崎 :0558-43-2888
修善寺 :0558-72-9299 - 健康診断
来院していただき、獣医師による健康診断を行います。
(問診・聴診・血液検査・血液型検査)
健康診断の費用は無料です。 - ドナー登録
健康診断で問題なければドナー登録をいたします。
一年ごとの更新となります。
更新していただける場合は、年一回更新時に無料で健康診断を行います。
採血について
- 連絡
輸血が必要になった場合、ご連絡させていただきます。 - 健康診断
採血実施時の健康状態を確認するため、健康診断(問診・聴診・血液検査)を実施します。(無料)
同時に輸血が必要な犬の血液と、供血する犬の血液が適合するかの検査(交差適合試験)を行います。
この検査で適合しなければ採血を中止することがあります。 - 採血
採血量:50㏄~400㏄
(供血する犬と輸血を受ける犬の大きさや健康状態によって異なります)
おとなしい性格の犬であれば、鎮静や麻酔をせず採血します。
怖がりだったり、興奮しやすい犬の場合は、鎮静や麻酔をすることがあります。
また、場合によって採血部位の剃毛をすることがあります。 - 輸液
採血後、輸液を行います。
採血させていただいた血液は大事に使わせていただきます。
ご協力お願いいたします。
献血にご協力いただける方は、当院までお問合わせください。
さくら動物病院(松崎町)
さくらどうぶつのクリニック(修善寺)
未来の動物たちのために~剖検のご協力のお願い~
当院では、当院で治療の甲斐なく、亡くなってしまった動物の剖検をお願いすることがあります。
剖検とは…
剖検とは、死因,病変などを追究するために,死体を解剖,検査すること。
診断が確定しないうちに死亡してしまったり、診断に基づき回復が見込める治療を行ったが死亡してしまった場合、剖検をお願いすることがあります。