今回は、マルチーズとヨークシャテリアのミックス犬の9カ月齢若い犬の骨折の症例です。
骨折した場所は、左側の中手骨のすべてです。落下した拍子に骨折してしまったようです。
中手骨とは、人でいえば手の甲の骨です。
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矢印の指す、黒い部分が中手骨です。 |
今回の症例では、ギプス固定での治療を選択しました。
ギプス固定での治療は、今まで紹介してきた外科手術と比べ安価で簡単に行うことができます。
しかし、イヌやネコなどの動物では、人に比べ骨折のギプス固定での治療は適応が少なくあまり実施しません。
なぜ適応が少ないかというと、動物自身が嫌がってかじって取ってしまったり、人と違いなかなか安静にしていることが難しいため、ギプスが動いてしまい皮膚にギプスが食い込んだり、骨が曲がってくっついてしまったりする可能性が高いためです。
獣医師にとっては、外科手術で固定する場合よりも何が起きるか不安で、骨折の治療としてあまり選択肢にありません。
今回の症例では、骨折の変化が少ない(折れた骨のずれが少ない)ため、ギプス固定を選択しました。
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ギプス固定前 | ギプス固定後 |
赤丸で囲まれた部分が、骨折した部位です。
6週間のギプス固定を経て、骨のくっつき具合をレントゲンで確認し、良さそうだったので固定を外すことにしました。
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ギプス除去前 | ギプス除去後 |
骨折した線がわかりにくくなっています。
そして、受傷後9カ月目に再度確認のためのレントゲンを撮影。
骨折したことがわからないくらいの状態になっていました。
今回は、うまく治癒した症例でした。
骨折の程度、骨折の場所、そして犬自身がおとなしい性格だったことがうまく治癒した要因でした。
その他、外科手術での骨折も紹介しています。
動物の状態や性格を考慮し、飼い主さんとよく話し合い、飼い主さんとそのパートナーである動物に寄り添い、ベストな治療法を選択してしていくことを心がけています。
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