今回は、猫の骨盤骨折の2症例を紹介したいと思います。
症例 1 )骨盤骨折と仙腸関節の脱臼
正常な猫の骨盤
正常な猫の骨盤はこのような形をしています。真ん中の上部にある仙椎は、椎骨でも腰より下にある骨で骨盤とくっついています。その骨盤とくっついている部分を仙腸関節といいます。
骨盤骨折の多くは、交通事故にあうことで生じます。
事故にあったとき、大きな力がかかりこの関節も外れるケースがよくあります。
1つめはご紹介する症例では、骨盤骨折と仙腸関節の脱臼が両方生じたケースを紹介します。
向かって右側の仙腸関節が脱臼しています。向かって左側は、骨折しています。 |
骨盤が骨折し、下半身を引きずるような状態で来院しました。
おそらく交通事故にあっただろうと予測できます。
骨盤骨折は多くの場合で手術が必要になります。しかし、内臓の損傷や出血の可能性があるため、数日間経過を見てから手術を実施します。
術後 横向き | 術後 正面 |
骨盤の内側には、膀胱や尿道などの臓器があり骨折した骨盤を整復するときに尿道を挟み込んでしまうことがあります。それを防止するため、術前に尿道カテーテルを入れています。
術前に撮影したレントゲンから骨盤の形や骨の厚みを測定し、それによって適したサイズの金属製のプレートとスクリュー(ネジ)を用意します。
そしてそれらを使い手術で折れてしまった骨盤と、脱臼した部位を整復し固定します。
術後3日目で、少しづつ足を使って歩こうとするようになりました。
10/23追記
術後8週間目 再度診察に来院しました。
その時の歩く様子です。なれない場所に警戒する様子は見せていますが、正常に歩いています。
症例 2)骨盤骨折
術前 | 術後 |
腸骨が骨折した症例です。
上記の症例同様、プレートスクリューで整復し固定をしました。
猫は犬と違いリードにつながれて散歩をするわけではなく、自由に家の中と外を出入りして生活する傾向にあります。
そこで、道路を横切ったりするときに交通事故にあってしまうことがしばしばあります。
特に、道をわたっている途中で車が来てびっくりして逃げ出すので、下半身をけがをすることが多いようで、骨盤骨折以外にも後ろ脚を骨折し治療することが多く見られます。
次回の症例紹介では、後ろ足の骨折の症例を紹介する予定です。
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