今回、紹介する症例は、体重約2㎏の超小型のポメラニアンの中手骨骨折です。
以前紹介した、症例紹介:小型犬の全中手骨骨折。ギプス固定による治療と同じく人でいう手の甲にあたる骨の骨折です。
この症例では、左前肢中手骨の3~5番目を骨折しました。
赤い矢印が示す所が、骨折した箇所です。
第3と第4の中手骨は、体重を支えて歩くのに重要な骨です。この骨が両方骨折していること、さらに第3中手骨は3つのピースに、第4は骨折面がずれてしまっているため、ギプス固定では安定が得られないと判断し、外科手術での整復固定をすることにしました。
骨折した骨を注射針を使って固定しています。 | 手術中、レントゲンを撮り確認しています。 |
実際に手術をしてみて驚いたのが、あまりにも骨が細く用意していた骨の固定用のピンの最も細いものが骨の空洞部分に入らず、急遽、注射針で何とか整復固定しました。
第4中手骨をピンで固定したことで、第3中手骨も安定したため他の骨折部位はそのままにし、ギプス固定をしました。
矢印は骨折したところ | 術後、ギプス固定をしました |
手術から6週間後、ギプスを除去しました。
そして、手術から3か月後、そのままにした骨折部分も引き寄せられうまく骨融合していました。
術後、6週間 | 術後、3ヵ月 |
同じ中手骨の骨折でも、骨折の仕方、骨のずれ具合などにより選択する治療法が違ってきます。
それぞれの状態を考え、その時その動物にどんな治療がベストなのか考え治療に取り組んでいきます。
その他、いろいろな症例の紹介をしています。
今後も、紹介していく予定ですのでご興味があればこちらからどうぞ。