今回は、猫の行使の足根関節骨折の一例を紹介します。
今回の症例のネコは、交通事故に後肢の骨折と、尾に外傷があり来院しました。
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レントゲンを撮影したところ、右側の行使の足根関節(足首にあたるところ)が骨折していることがわかりました。
レントゲン写真を見ると、骨折した骨と骨が大きくずれていることがわかります。
そこで、整復手術を行うことになりました。
以前紹介した、骨盤骨折の症例は折れた骨に金属製のプレートを金属製のスクリューで固定し整復する内固定と呼ばれる傷の内側に固定具(インプラント)を挿入して整復する方法でした。
今回は、『創(傷)の外側から固定する』創外固定法で整復手術を行うことになりました。
創外固定法は、感染の可能性がある場合(開放骨折)や、プレートの挿入が難しい位置の骨折、骨が細かく割れているような骨折などで用いられます。
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骨折した骨の、骨折面をなるべく合わせ、骨折部を境に膝側に1本、足首側に2本のピンを打ち込み、それらを動かないように針金とパテで固定します。
術後5日目には、足を使ってよく歩いてます。
この症例では、事故の際に尻尾にも大きな損傷を受けたため断尾の手術も同時に行いました。
固定に使っているピンは、治癒の経過とともに抜いていきます。
一度に抜いてしまうと、くっついたばかりの骨に急に負荷がかかり、再び折れてしまうことがあるからです。
少しづつ抜いて、骨に少しづつ負荷をかけ治癒を促し、完全に骨がつく頃にすべてのピンを抜きます。